
みなさま、お久しぶりです。とうとう、年の瀬になってしまいました。前回のコラムから8カ月ぶり。怠慢をお許し下さい。
今回は被災地ボランティアについて報告します。9月の下旬と11月下旬に宮城県石巻市に炊き出しボランティアに行ってきました。
メンバーは、私が住む川崎市溝の口駅近くの居酒屋で毎夜、くだを巻いているオヤジ常連客と店の女将、アルバイトの女子大生。この店は、「かみつき亀」の異名をとる説教女将と、どんな因果で社会人が務まっているのか不明な強烈個性のオヤジが集っていることで地元ではかなり異色の店。豊富な日本酒と料理の美味しいのが唯一の救いです。
さて、前日、店での団結式で飲み明かし、二日酔いのまま6時に地元を出発。8時間かけて石巻市に入り、翌朝5時に起きて仮設住宅で芋煮とおはぎの炊き出しを始めました。果たして、みなさんが来てくださるのか不安でしたが、長い行列ができてあっという間に150食がなくなりました。11月の2回目は300食を用意して規模拡大で臨んだのですが、このときも同じ。
2回のボランティアでいろいろなことを考えさせられました。9月のときはまだ信号も復旧しておらず、いたるところで警察官が交通整理をしていました。それが11月になるとかなり回復していました。ただ、くらしの回復はほとんど手つかずというのが実感です。
炊き出しで驚いたのは、マッチの提供でした。いまではほとんど不要となった店のオリジナルマッチ600個を揃えたのです。きっとまた持って帰ることになるのだろうなと思っていたところ、これが大人気。すぐになくなってしまいました。「たくさんもらっていい?」と聞く被災者。ポケットに詰めながら、
「毎日、線香を上げなければいけないのでね。これはありがたいんです」
返す言葉がありませんでした。収入がほとんどないなかで、日常の消耗品はいくらあっても不安なのだと思います。
もう一つは、多くの会社がまだ閉まったままのなかで、パチンコ店がいち早く再開し、昼間からにぎわっていることに驚きました。雇用が絶望的な状況にあることがわかります。
その後、腹立たしいことがありました。常連客でにぎわう、くだんの店にふらりと入ってきた九州の金属リサイクル業者の話でした。
「リサイクルで集まった自転車500台を被災地の贈ろうと申し出たんだけどね。これが駄目だって言うんですよ。結局、みんなスクラップにしてしまいました」
業者から聞いた「駄目だ」の理由は、確認を取っていないこともありますが、あまりに馬鹿馬鹿しいご都合主義のきわみで、とても書く気になりません。9月のボランティアの際、川崎市から100台の中古自転車が仮設住宅で提供されていました。瞬く間にすごい行列ができて、くじ引きで提供せざるを得ないほどの人気でした。自家用車を流され、交通インフラがまだ不十分ななか、燃料費のかからない自転車こそいちばん欲しいものなのでしょう。金屑と化した500台の自転車の価値は、「中古」の時価を超えて途方もなく大きかったはずです。
果たしてこれから、何ができるのか自分でも判然としませんが、酔いどれオヤジたちと来年も気が付いたところから始めようと話し合っています。
今年1年、婦人公論をご愛読いただいたみなさま、本当にありがとうございました。そして、被災された方々のくらしが少しでもよき方向に向かうことを心から祈っております。来年こそ、信頼が回復する年になりますように。